仕事を始めたばかりはもっと楽しかった。今よりも人脈もノウハウも無い、ろくに契約も取れないし、給料だって手取りで7万8万なんてざらだった。それでも自分で考えて一日の行動が決められる、ちょっとした探検みたい。他業種の人と話すのは楽しかった。ただ給料的にはキツくて、「せめて手取りで15万ぐらいあったらいいのにな~」と思っていた。あれから数年して、波はあるものの、手取り15万の給料にはなった。今だって外回りが楽しく無いわけではない けれども、毎日が重苦しい。 入社当時は感じ得なかったこの重苦しさ。中堅になって責任が増えたから?保険商品が変わって売りづらくなったから?景気が悪くなって売れなくなったから?外にずっと原因があるかと思ってい。
でもずっと心の奥底をのぞいてみると、単に保険とれないとかっちょ悪い。恥ずかしい。みっともない。半年に一回ある査定で、下のランクに落ちたら皆からどう思われるんだろう?気がつくとそんなことばっかり考えている自分に気づく。人の目を気にするようになると周りの人がうまくいっている事が、焦りになる。他でも無い私の中の感情が重いだけだった。
そりゃあ給料の事もある、ただ私たちはこれだけの契約を取れば給料がいくらになるか事前に計算できるのだ。 (←タブレットでシミュレーション出来るようになってるのだ。) 最低限、自分の稼がなければならない給料を稼いで、後は全力で外回りを楽しめば良いだけなのだ。そう、昔みたいに。 もちろん上からはノルマの事を言われるが聞き流してしまえばいいのだから。流す、、、流す。。。そう思っていてもそれが出来ない。目の前の、全営業マンの売り上げが一目瞭然のホワイトボード。
周りにを気にしないなんて、昭和生まれで皆で一緒に右から左と足並みそろえて教育されてきた私には難しいのだ。
会社は競争心、虚栄心、羞恥心。それらの感情をふんだんに刺激して営業マンを鼓舞する。心がチリチリになりそうになる。
半ば強引に頼まれ、断り切れずに班長になってから10ヶ月後、母が脳梗塞で倒れた。長女は受験、私は更年期に突入。 班長として班のノルマも去ることならが、私自身も今までに無いほど保険契約が取れない。給料は下がる一方。本屋で自己啓発本を見ると、こんなの読むようになったら終わりだ、なんて昔は鼻で笑っていた私だったが、わらをもつかむ気持ちで、読みあさる。正確に言うと、動画を見まくってる。 まぁなんと言うか、げんきんだなぁ~と自分でも。インスタントな情報で何とかしようと思うところが、私らしくて今まで何やってもたいした事無かった原因だよな~と。
夜中からだが暑くなって目が覚める、眠りが浅い、ストレスだと思っていたら隣の席の班員さんが、 「それは更年期よ」 と言う。もう70才近くのベテランさんだか、 「私もね、更年期の時は精神的にもキツくて、何もやる気が出なくなったりしたのよ。」 と言うことは、今はやる気があるってことか?やる気、職場で見たことが無いんですけど~ 言われて見ればいつになくネガティブだ。だけど産まれてこの方ポジティブだった時期が無いので、どこからが更年期なんだか分からない。なんだったらやたら顔が赤くなるとか、外からみて分かる症状にして欲しい。それか手の甲にでも印が出てきて、[更年期サイン]を自分も周りも分るようだったら良いのに。気持ちが沈むとか、曖昧過ぎだよ更年期。
そんな事を悟られないように、とにかく外見を繕う。洋服、髪型、メイク。年よりも少しでも若く見られるように。もともと中身がすっからかんでこの年まで来てしまったので、せめて外見だけでも手をかけ無きゃと、少ない給料のなかから洋服を買う。それでもよるつきなみに逆らえない。健康診断の度に縮んでいく身長。増えてく体重。階段上れば息切れ。最近なんか朝起きて、鏡みるとおばさんどころか中年のおじさんに見えるもの。 とにかく嵐の真っ只中です。
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